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12.192020
やっぱり安心!公正証書でつくる遺言書の利点と費用について
遺言書を書きたいけれど、自分ひとりで書くのは心配だなと思っていませんか?
より確実で有効な遺言書を作成しておきたいと思う方もいらっしゃることでしょう。
この記事を読むと、安心で確実な遺言方法である公正証書遺言のことがよくわかります。
遺言書専門の行政書士がわかりやすく解説します。
公正証書遺言書とは
公証役場で、2人の証人の立会いのもと、公証人に作成してもらう遺言書のことを「公正証書遺言」といいます。
公正証書を作成する公証人は、裁判官・検察官等の法律実務に30年以上たずさわってきた人のなかから、法務大臣により任命される法律の専門家です。正確な法律知識と豊富な経験をもっています。
公正証書遺言は、公証人から必要な助言を受けながら作成することができるため、法律的に有効で、安心できる遺言書となります。
また、家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。 さらに、原本が必ず公証役場に保管されますので、遺言書が破棄されたり、隠ぺいや改ざんをされたりする心配も全くありません。
他にも利点があります。
公正証書遺言は、口頭で公証人に遺言の内容を告げることにより、公証人が作成をしてくれます。そのため、体力が弱って文字が書けない場合でも、遺言書を作成することができます。
遺言作成者が病気等で公証役場に行けない場合には、公証人に自宅、病院、老人ホームなどに来ていただくことも可能です。(別途手数料や日当、交通費がかかります。)
このように、公正証書遺言は、メリットが多く、安全確実に遺言書をのこす方法といえます。
公正証書遺言作成する前にしておくべきこと
公証役場に向かう前にいくつかの下準備をしておくと、公正証書遺言の作成をスムーズに行うことができます。どのような準備をしておくと良いのでしょうか
1.まずは、相続人を調査しましょう
自分の相続人(法律で定めれた相続人)が誰なのかを確認しましょう。
ご自身の相続人が誰なのかを知ることは、遺言書を作成する上で、とても大事なことです。なぜなら、遺言書で指定された受遺者(財産を受け取る方)が、相続人なのか、そうでないのかによって、遺言書に記載する表現が変わってくるからです。
公証役場に持参する書類も、相続人に遺言するのか、相続人以外に遺言するのかで違ってきます。
また、一部の相続人には、一定の割合で相続財産を受け取ることを主張する権利(遺留分)がありますので、相続人以外の方に遺言する場合は、相続人の遺留分も確認しておく必要があります。
2.保有財産を確認しておきましょう
ご自身がお持ちの財産にはどのようなものがあるかを整理しておきましょう。
不動産、不動産以外の資産(預貯金、証券など)と負債(借入金)などに分けて書きだし、一覧表にまとめてみましょう。
保有財産を一覧表にまとめることで、誰にどの財産を遺贈するかを考えやすくなります。
公証役場に支払う手数料は、遺言する財産の金額によって決まりますので、手数料の目安を知る上でも便利です。
3.証人になってもらう人を決めましょう。
公正証書遺言の作成は2人の証人の立会のもとで行われます。
証人は、遺言をする方が本人であること、正常な判断能力を持っていること、遺言者の意思にもとづいて遺言書が作成されているかなどを確認する役割を担います。
身近な方に証人になっていただくことも可能ですが、未成年者や、ご自分の相続人にあたる人、受遺者(財産を受け取る方)のご家族、公証人の親族や関係者などは証人にはなれません。
また、証人は遺言内容を知ることになりますので、信頼のおける方を選ぶ必要があります。
遺言書の作成を専門とする行政書士や司法書士、弁護士など、法律的な知識をもち、守秘義務(知りえた秘密の情報を外部にもらさない義務)のある専門家に依頼するのも良いでしょう。
専門家に依頼すれば、相続人を確認するための書類やお持ちの財産を特定する資料を取り寄せたり、遺言書案の作成や、公証役場の予約、公証人との事前打合せなども、まとめてサポートを受けることができます。
公正証書遺言書作成の費用について
公正証書遺言作成する際には、公証役場へ支払う手数料や証人への報酬が発生します。
公証役場に支払う手数料は、受遺者(遺言を受け取る方)1名ごとの受け取る価額によって決まります。受遺者が数名いれば、その合計金額となります。
遺言に記載された財産が1億円以下の場合は、遺言加算として合計金額に11,000円がプラスされます。
たとえば、3名の相続人に1000万円ずつ遺贈する場合、1000万円に対する手数料は17,000円ですので、
17,000円×3名分+遺言加算11,000円=62,000円 が遺言作成の手数料となります。
公正証書遺言作成の公証役場手数料についての詳細はこちらをご覧ください。
その他、証人をどなたかに依頼する場合には、報酬として証人1人当たり6,000円から10,000円程度かかります。
また、専門家にサポートを依頼する場合は、別途費用がかかります。
ホームページなどで公表されている一般的な遺言サポートの報酬額は以下のとおりです。
行政書士や司法書士の報酬額 約8万円から15万円
弁護士の報酬額 約20万円~30万円(財産によって加算あり)
信託銀行への手数料 約30万円から100万円
まとめ:
公正証書遺言は安心で確実な遺言方法ですが、公証役場に支払う手数料がかかります。
専門家のサポートを受ける場合は、専門家へ支払う報酬も発生します。
報酬の負担を考えて、公正証書遺言を作成すべきかどうか迷われる方もいらっしゃることでしょう。
迷われている方は、まずは、自分の相続がおきたときに生じる遺産分割トラブルのリスクについて考えてみましょう。また、公正証書遺言をのこさないことで生じる心の不安がどれほどあるのかをよく考えてみましょう。
考えた結果、将来のリスクや心の不安が大きい場合は、それを解消し安心を手に入れられる公正証書遺言は、一定の費用を払ってでも作成しておくべきものといえるでしょう。